トップ設計(フロアプラン・配線)


フロアプランの課題

  • 各種制約を盛り込んだ最適なフロアプランを早期に決定する必要がありますが、ベースのフロアプランを作成し、ほかのバリエーションを検討して、それぞれのメリット・デメリットを比較しながら、フロアプランを選定する設計者は多いはずです。
  • しかし、開発日程の都合で、検討が十分に出来ない事もあり、限られた時間の中で複数のパターンを作成して、その中から最適なパターンを選ぶことが求められます。
  • また、レビューなどで有識者から指摘があり、再検討というケースもありますが、時間がさらに限られる中で、複数のフロアプランを作成するのは大変なため、あとはツールに頼るしかありません。

フロアプランの改善策

  • チップのPAD端子を配置しておくことで、接続関係のあるブロックが、PADの近くに自動で配置される機能です。
  • 同時に、配置・配線の各種制約を設定しておくことで、その制約を考慮した配置結果を自動で得ることができます。
    例 : Latch-upのルールや熱源から距離など、ブロック間の距離を離す必要がある注意点に対しては、Distance制約を設定することなどにより、制約を考慮した配置ができます。
  • また、トップダウン手法により、まだ設計されていないソフトブロックの形状を、周囲のブロック形状と調整しながら、自動変形することができます。
  • L字型や多角形にも形状変更するので、デッドスペース削減、チップサイズ縮小につなげることができます。
  • さらに、ブロックの回路図がない場合でも、レイアウト側でブロックのセルを作成して想定される面積のデザイン枠を作成しておくことで、実行できます。

最適なフロアプランの早期選定

  • フロアプランのバリエーションは、条件(動かされたくないブロックをFix、制約設定の追加など)を与えることで、容易に作成できます。
  • これにより、レビューでの有識者からの指摘にも、その場で条件を与えて実行し、対応したフロアプランを即時に提示して、議論ができるようになります。
  • ほかに、製品パッケージの仕様変更に伴うPAD端子並びが変わる場合でも、FixにしていたPADを入れ替えることで、制約設定はそのままで、実行するだけです。
  • 持ち帰って再検討ということが少なくなり、設計者の負担が軽減できて、製品開発日程への影響も抑えられるようになります。

また、「配線混雑度見積り」の表示も可能なため、ブロック配置の見た目では上手く配線できそうでも、実際に配線工程を進めると、配線領域が不足して手戻りになるようなケースも解消でき、複数のフロアプランで配線混雑度を比較することで、手戻りを回避できます。
さらに、「配線混雑改善」機能として、まだ設計されていないソフトブロックの形状を自動変形する際に、トップレベルから見たフライラインの距離が短くなる位置に、自動でブロック内のポート図形を配置調整します。
ブロックにエディットインプレースしてポートを配置していた作業がほとんどなくなり、トップダウンの設計手法で、ブロック内の設計手戻り削減にもつなげられます。

※フロアプラン関連:SX-Meister ACC/BlockPlacerで実現できます。

配線工程の課題

  • 電源、信号配線入力のうち、特にアナログ配線の入力は、抵抗値、根元分岐、EM、並走・交差の禁止、シールド挿入などの各種制約条件を満たす必要があり、その対応に配線設計の大半の工数を占めて、非常に時間がかかります。
  • また、回路側からの配線制約を基に配線領域を計算して配線を引いていきますが、場所によっては、一律同じ配線レイヤや幅で引かない場合も多くあるため、 配線層・ネット数が多くなると、制約を満たす配線幅の手計算などが大変で時間がかかります。
  • 事前に想定していた配線領域に全ての配線が収まらない場合もあり、さらに、配線経路が変わると、再度手計算からやり直しになるので、手戻りで非常に手間がかかります。

配線工程の対策

  • 予め制約情報を入力しておくことで、自動で制約を満たした配線を設計でき、事前に必要だった配線検討時間を大幅に短縮することができます。
  • また、太幅や裏打ちまたはスリット配線の自動生成、Via個数の調整やメタル密度などの制約も自動で順守でき、レイアウト設計のハードルも大幅に下がり、且つ短TATを実現できます。
  • さらに、配線混雑度見積りや、フライラインではなく配線経路が視覚的に認識できるシンボリック配線、各種制約を反映した実体化前の配線イメージ表示などで、配線状況を確認しながら、最適な配線経路の検討や配線領域の調整がスムーズに行えます。
  • 配線領域確保の見極めや、配線経路の検討、配線領域を新たに追加して配線のやり直しなどを自動化して、配線工程を短時間で設計することができます。
  • 設計TATの短縮はもちろんのこと、レイアウト設計者が複雑な配線制約や設計基準を覚える必要が無くなる利点もあります。

※配線工程関連:SX-Meister ACC/BlockRouterで実現できます。